ゴルフにおいて、良いスコアを目指すために大切なことを聞かれたら、経験者は迷わず「アプローチ」と答えるでしょう。ドライバーが上手く飛ばなくても、最終的にアプローチでワンパット圏内に寄せることができれば、自ずとスコアはまとまってきます。
プロゴルフの世界ではリカバリー率という指標があり、パーオンしないホールで、パーかそれより良いスコアを獲得する確率のことを指します。毎回大会で上位に食い込んでくるプロゴルファーほど、このリカバリー率が高くアプローチが得意な選手といえます。
プロのようにカップに寄せるアプローチを打つためには、スイング技術はもちろん、狙った軌道を打ちやすいクラブ選びも大切です。
本記事では、数あるウェッジの特徴を理解し、初心者・中上級者にやさしいアプローチウェッジの選び方を解説します。
アプローチウェッジとは
アプローチウェッジ(AW)は、バンカーショットに使うサンドウェッジ(SW)とピッチングウェッジ(PW)の中間に位置するクラブです。少し球を上げて転がしたいシチュエーションで利用され、サンドウェッジとピッチングウェッジの飛距離差を埋めるために開発されています。
一方、サンドウェッジは球が上がりやすいように設計されており、ピッチングウェッジは球が転がりやすい角度に作られています。
100yd以内のピッチ&ラン向き
アプローチウェッジはフルショットで90yd前後のショットを目指すクラブです。
適度に球を上げやすく、50yd以内の短い距離でピッチ&ランのアプローチショットを狙う時に有効です。フェアウェイから花道を使ってグリーンが狙える場面や、ピンがグリーン奥にある場面で活躍します。
アプローチの種類について
寄せるアプローチの弾道には、大きく分けて以下の4種類があります。初心者の方は、このような弾道の打ち分けがあることを知り、アプローチに慣れてきたら色々な弾道にチャレンジしてみましょう。
中上級者は、このアプローチをより細かく打ち分ける練習をしてみましょう。
ロブショット
アプローチの中でもボールを一番高く上げて、ボールの転がりを抑える打ち方です。グリーンエッジとカップの距離が近い時、グリーン上でのランを少なくしてボールを止めたい時に使います。
ピッチショット
ボールを緩やかに打ち上げて、少しだけ転がるアプローチショットです。グリーン手前にバンカーや障害物がある時、それを超えてグリーンを狙う時に使います。
ピッチエンドラン
ボールが浮いている距離と、転がる距離が半々になるショットをいいます。ラフから抜け出して、グリーン奥のピンを狙う時や2段グリーンになっているなど、グリーンエッジからピンまで距離がある場合に有効です。
チップショット
グリーン周りから転がしてピンを狙う時に使います。ボールからグリーンまでの距離が短い場面や、ボールとピンの間に障害物や高低差などがない所が好ましいです。グリーンに乗らず、カラーにあるボールを打つ場面でもチップショットを使います。
このようにアプローチは、さまざまな種類のものが存在します。プロや上級者になると、アプローチを使い分けてランとキャリーの距離を計算しながら打ち分けますが、初心者の方ははじめからピッチショットでリスクを負うよりも、転がす方が安全です。
まずは、チップショットが打てるようになってから、徐々にピッチの距離を増やしていくようにすると良いでしょう。
アプローチウェッジを知ろう!
アプローチは、狙いによって異なる弾道を打ち分けることが必要です。色々な弾道のアプローチが打ちやすいように設計されたクラブがアプローチウェッジです。ここからはアプローチウェッジのクラブの特徴についてみていきましょう。
ロフト角が異なるアプローチウェッジ
ウェッジを選ぶ際に大切なポイントは、ロフト角にあります。シャフトを地面と垂直に持った場合に、ソール面と垂直線で成す角度をロフト角といいますが、この角度によって、同じスイングをしても、飛距離やボールが上がる角度が変わってきます。
アプローチウェッジのロフト角の目安は、およそ48〜54度です。この角度でなければいけないという決まりはないため、自分がどのようなボールを打ちたいのかによってロフト角を決めてください。
SWとPWの間のロフト角で、かつ飛距離もその間となるようなロフト角が適しています。
グリーン周りでアプローチウェッジを使う時は、ボールを下手投げで放り投げるイメージでボールがピンに向かっていく打球をイメージしましょう。そのイメージに近いボールが打てるロフト角を選ぶのもコツです。
バウンス角が異なるアプローチウェッジ
プロゴルファーからのニーズに応え、さまざまなソール形状のウェッジが作られるようになりました。シャフトを垂直にした時にリーディングエッジからソールの張り出しの量を示すのをバウンス角といいます。
バウンス角は、その角度が大きいものを「ハイバウンス」小さいものを「ローバウンス」といいます。ハイバウンスの方が、地面と接触した際にクラブを滑らせやすくなり打ちやすくなります。そのため、初心者の方はバウンス角が大きいハイバウンスのウェッジの方がおすすめです。
バウンス角が大きいほど地面に刺さりにくいため、特にバンカーで利用するウェッジはバウンス角が大きいものを利用します。アプローチウェッジのバウンス角は、サンドウェッジよりも小さいバウンス角を利用することが一般的です。
芝の薄い所や土のフィールドから打つ場面では、バウンス角が少ないウェッジの方がトップのミスを減らし、ボールを拾いやすくなる利点があります。
ご自身のレベルや、ラウンドで想定されるケースを考えて適切なバウンス角を選択すると良いでしょう。
アプローチウェッジとクラブセッティングの関係
ゴルフではラウンドに持っていけるクラブは14本までと決まっているため、クラブセッティングが重要となります。市販されているアイアンセットでは5番からPWまでの6本組が多く、アプローチウェッジは別売りとなっています。
ウェッジの中には、PW、AW、SWとあります。それぞれの違いをみていきましょう。
PW・AW・SWの違いについて
大きく分けてPW・AW・SWの3種類があり、それぞれ得意とする場面があります。
PWは、グリーン周りでボールを低く上げて転がすピッチ&ランによく利用されるクラブです。転がすことを得意とするため、ロフト角はウェッジの中でも一番小さく、フルスイング時の飛距離は約100ydです。
AWは、PWとSWの間のクラブと言われ、フルショットでの飛距離はおよそ90yd前後です。ボールが適度に上がり、転がる球も打ちやすいため、グリーン周りのアプローチショットで利用されます。
SWは、主にバンカーショットで利用するウェッジです。ロフト角、バウンス角を大きくとることで、バンカーからボールが出やすい設計になっています。この3つのクラブの中ではロフト角が一番大きくなっており、バンカーの他にロブショットを打ちたい時に利用します。
アベレージゴルファーはスイングの強弱での飛距離調整が難しいため、アプローチでの距離の打ち分けはロフトの角度によって調整できる方が簡単です。PW、AW、SWの3本は必須のクラブとして常備している人は多く、それにくわえてアプローチウェッジをもう一本リストに追加することも検討してみましょう。
そうすることで、苦手な距離をさらにカバーしやすくなるため、初心者の方でも寄せるアプローチが打ちやすくなります。中上級者の方などは、さらにコースマネジメントを考えてウェッジをセッティングできるようになると、ゴルフの楽しさが増します。
アプローチウェッジが必要な理由
アプローチウェッジはウェッジの中では歴史の浅いクラブです。元々PWとSWの飛距離の差を埋めるクラブとして生み出されましたが、PWでは飛距離が大きすぎる場面や、SWではフルスイングしても届かない場面でアプローチウェッジは活躍します。
アプローチウェッジは、SWに比べてシャフトが長く作られており、よりフルスイングしやすい設計になっています。また、ゴルフは転がした方が失敗しづらい側面から、アプローチウェッジでピッチ&ランを使うことで安定したスコアメイクができるようになります。
グリーン周りでは5ydずれてしまうと、ワンパット圏内から外れてしまいます。距離の微調整をスイングの力加減で調整することは簡単ではありません。ゴルファーの中には、スイングで距離を調整しようとしてダフったり、トップを打った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
スコアメイクを考える上ではアプローチウェッジは外せないクラブです。ぜひラウンドに頼りになる一本を選んでみましょう。
アプローチウェッジの選び方
ではアプローチウェッジをどのように選んだら良いのでしょうか?基本的な選び方のポイントを解説していきます。
自分の持っているPWの角度を調べる
ウェッジによってロフト角が異なりますが、まずはアイアンセットで誰しも必ず持っているPWのロフト角を確認しましょう。PWのロフト角を基準にアプローチウェッジのロフト角を選んでいきます。
PWにはロフト角が記載されていない場合が多いので、わからない場合はメーカーWEBサイトなどで確認すると良いでしょう。
PWのロフト角がわかったら、その角度とSWの中間のロフト角でアプローチウェッジを選ぶと、ロフトの感覚が均等になるためショットの感覚を合わせやすくなります。もし、2本のアプローチウェッジを準備するのであれば、PWとSWを合わせた4本でロフト差が均一になるように選びましょう。
ロフト角は1度異なると、3ヤードほど飛距離が変わるといわれます。PWを100ヤードとした場合、アプローチウェッジはPWと比べて3〜4度のロフト角が多いクラブが目安になります。
形状・打ちやすさで選ぶ
ご自身が持っているクラブとの相性でアプローチウェッジを選ぶ方法に加えて、クラブの形状や打ちやすさ・扱いやすさから選ぶ方法があります。
ソールの幅・バウンス角で選ぶ
ウェッジにはソールの幅が狭いものと広いものがあります。幅が広いソールは、地面との設置面が大きくなるため、スイングした際に地面の上を滑りやすくなります。そのため、芝でのダフリを軽減できることから、ミスに強いクラブといえます。
バウンス角は大きいほど、地面に刺さりにくくなるため、初心者にとっても安心して使えます。SWを持っていれば、そのバウンス角よりも小さいものを選ぶとクラブの使い分けがしやすくなり、ラウンドで利用しやすいです。
ネックの形状で選ぶ
ウェッジのネックは、グースネック、セミグースネック、ストレートネックの3つがあります。
グースネックは、構えた時にシャフトの中心よりもヘッドが後ろにある造りになっており、インパクト時にはフェースをやや閉じた状態であたりやすくなります。クラブの特性上、ハンドファーストで打ちやすくなっているため、アプローチが苦手な初心者の方に向いています。
ストレートネックは、フェース開閉を積極的に利用して攻めていきたい上級者向けのクラブです。シャフトとヘッドの位置がまっすぐでグリップと一体感があるため、細かい操作ができます。ボールが沈みやすい洋芝の場面など、グースネックよりもボールを拾いやすい特徴があります。
初心者にやさしいアプローチウェッジの選び方
アプローチウェッジを知った上で、初心者にやさしいアプローチウェッジの特徴をまとめると以下のようになります。
- ソールの幅が広いもの
- バウンス角は大きめ
- グース、セミグースネック
初心者の場合、ショットの時にダフリやトップなどのミスを少なくできるクラブが良いでしょう。そのために、上記3つのポイントを抑えたアプローチウェッジを1本選んでおくことが有効です。
すでにお持ちのクラブとの相性を考えながら選ぶようにしましょう。
中上級者の方は2本持ちを考えよう
アベレージゴルファーの方や、さらに上を狙っていきたい方はアプローチウェッジを2本持つことを考えてみましょう。クラブを使いこなせる技術が身につけば、ピッチ&ランのさらに細かい距離の調整が可能となり、精度の高いアプローチが打てます。
上級者の場合は、バウンス角が小さく、ストレートネックのアプローチウェッジを検討してみましょう。よりフェースの開閉の感覚を得やすく、打点する場所によってスピンの調整も可能です。
アプローチウェッジの数を増やして、より精度が高く細かい弾道の打ち分けができれば、シングルプレーヤーになる日も近いでしょう。
アプローチウェッジの打ち方
では、自分に合ったアプローチウェッジを選んだら、次は打ち方についてです。どれだけピンに寄るアプローチを打てるかは、再現性の高いショットを打てるかにかかってきます。ぜひ、ワンピン以内にアプローチが打てるようになりましょう!
アプローチの考え方として大切なことは、フルショットでクラブの飛距離を設定しないことです。フルショットは、スイングで身体がブレたりインパクトの精度が落ちるため安定しません。カップに寄せる事を考え、飛ばすのではなく8割のショットをスタンダードな飛距離設定にします。
グリップは短めに持つと振りやすい
フルショットを打つわけではないため、指2本分程度短く握るようにします。短く握ることで、クラブヘッドと手の距離が近くなり、クラブを扱いやすくなるためショットが安定します。
そして、スイングする前からトップとフィニッシュのポジションを決めておく事で、振りすぎることを防止し、安定したショットを打ちやすくなります。
スタンスは両足の間拳1個分
飛距離を求めないアプローチの場合は、スイングの安定を重視してオープンスタンスで構えます。そうすることで、フォローからフィニッシュにかけて身体が止まらず振り抜きやすくなります。
両足の幅を拳1個分くらい開くように構えますが、50yd以内の短い距離の場合は、より軸を安定させるために両足を閉じる形のオープンスタンスにするやり方もあります。そうすることで、スイングの軸が安定して振りやすくなります。
ボールは両足の中央からやや右側
アプローチウェッジの場合、ボールのセット位置は両足の中央よりやや右側にセットします。ウェッジでは、ボールを高く上げすぎず中弾道で打ちやすくなることで距離感がまとまる傾向があります。
フルショットをせず、安定感重視のスイングを
アプローチでは、ドライバーなどフェアウェイをキープする打ち方とは異なり、目標となるピンまでどれだけ寄せられるかが重要となってきます。そのため、他のクラブよりも精度が求められます。
ご自身のウェッジがどのくらい飛ぶのか、その距離の設定は8割スイングをイメージして設定することで、より精度を高めたスイングが可能となります。
アプローチウェッジは狙うクラブなので、トップの位置をドライバースイングの7割程度とコンパクトにします。トップをコンパクトにすることで、ダフリやトップが激減し、ミート率が上がります。
ゴルフスクールでアプローチウェッジの打ち方を学ぶ
自分だけで練習しても「正しいかわからない」「上達しているのか見えない」などの悩みを持っている方は、ゴルフスクールを検討してみるのもおすすめです。
素人ではわからないポイントを、レッスンのプロから教えてもらうことは、間違いなく上達の近道になります。特に初心者のうちに、自己流のスイングの癖を身につけてしまうと、後々修正しづらいこともあります。
個々のスイングの課題や癖は異なりますが、中級者以上のゴルファーでも、100切りができる日やできない日など、スコアにムラがある場合などはレッスンを受けることで一気に壁を乗り越えることができる場合もあります。
ぜひ有効に活用してみましょう。
ゴルフスクール選びで見ておくべきポイント
さまざまなゴルフスクールがありますが、ご自身の課題とレベルに合ったスクール選びが大切です。ゴルフスクールで行われているプログラムを見ていきましょう。
インドアレッスンは気軽に行きやすい
天候に左右されないインドアでのレッスンを提供しているゴルフスクールは、初心者から中級者の方まで幅広い方におすすめです。スマートフォンやパソコンから簡単に予約でき、場所によってはクラブのレンタルも可能なので、手軽にレッスンを受けることができます。
インドアレッスンでは、目の前のネットに向かって打つスタイルなので、打球を気にせずフォームやインパクトに集中して練習できます。そのため、フォームをしっかりと作りたい初心者の方や、フォームのワンポイントを集中して改善したい中級者の方にとっておすすめです。
マンツーマンかグループレッスンか
学習塾でも個別指導や集団指導があるように、ゴルフでもそれぞれの課題やレベルによってマンツーマンかグループレッスンなど選び方が変わります。専門用語が難しくて分からない、周りのペースに上手くついていけないなどの不安がある方は、マンツーマンレッスンがあるスクールを選びましょう。
グループではカバーしきれない細かいポイントや、自分のスイングを見られることが恥ずかしいという悩みにも、マンツーマンレッスンであれば気にする必要がありません。
メーカー直営のゴルフスクールでは自分に合ったクラブも選べる
初心者の方でも、スクールで多くの練習を重ねるようになってきたら、自分のスイングや癖から使いやすいクラブがわかってきます。スクールの中には、ゴルフメーカー直営のスクールもあり、スイングの練習から自分に合ったクラブ選びまでサポートしてくれる所もあります。
どのクラブが今のスイングに適しているのかわからない方は、レッスン中に試打をしながらクラブ選びもできるメーカー直営のスクールを選ぶのも良いでしょう。
ゴルフスクール選びで迷ったらHONMAのゴルフスクールがおすすめ
HONMAのゴルフスクールでは、レベルに関係なく全てのゴルファーに当てはまる「基本」を習得することで、あらゆるゴルファーの悩みの解消につなげることが可能です。また、基本を習得する事に焦点をあてたレッスンは「場所ごとに毎回違った事を言われて戸惑う」などのスクールのよくある悩みも解消します。
さらに、インストラクターがゴルファー一人ひとりの悩みを解消できるようにマンツーマンレッスンを行います。各々で異なった課題に対して、カウンセリングを通して目標を設定し達成に向けてサポートします。
レッスンの場で自身のスイングの改善ポイントが見やすいように、スイング解析ソフト「じゃらんゴルフ」や打球解析機などを用いて、より修正ポイントがわかりやすく、充実したレッスンを受けることも可能です。
グリーン周りを攻略してベストスコアを目指そう!
ゴルフのスコアを縮めるための近道は、グリーン周りのアプローチの上達が大切です。アプローチが得意になれば、セカンドショットをどこに狙うべきかのポイントも分かり、無理に狙わず安全な位置に打てることで、よりゴルフが楽に回れるようになります。
アプローチをよりカップに近づけることができれば、パターも短い距離で打つことができ、スコアの減少が期待できます。グリーンに乗せるアプローチができるようになったら、次はよりカップに寄せるアプローチが打てるように練習して、ベストスコアの更新を狙いましょう。